酒類製造許可の取得ガイド:静岡県の行政書士が解説します

酒類製造のはじめかた

クラフトビールやご当地ワイン、地元特産物を使ったお酒など、地域の特性を活かしたお酒を多く見かけるようになってきました。

そこで今回は酒類を製造するにはどのような許可が必要になるのか、解説していきます。

酒類製造免許を取得

酒類を製造するためには、まず税務署から「酒類製造免許」を取得する必要があります。この免許は、製造する酒類の品目ごと、製造場ごとに申請します。以下に、免許取得に必要な条件や、免許が不要なケースを説明します。

免許がいらない場合

次の場合には酒類製造免許を取得する必要はありません。例えば、自宅で梅酒などの果実酒を家族で楽しむために作る場合、このような家庭内の消費目的での製造には酒類製造免許は不要です。自分で飲むための酒類を製造し、販売しない場合は、免許を取得しなくても問題ありません(酒税法施行規則第13条の3)。

酒類製造免許の要件

最低製造数量基準

製造免許を受けた後1年間で、清酒やビールは60キロリットル、果実酒やリキュールは6キロリットル以上の製造が必要です(酒税法第7条第2項)。

拒否要件

酒類製造免許を取得するためには、人的要件、場所要件、経営基礎要件、需給調整要件、技術・設備要件など、以下の拒否要件に該当しないことが求められます(酒税法第状。

①人的要件
  • 酒税法の免許又はアルコール事業法の許可を取り消された日から3年を経過していない場合(酒類不製造又は不販売によるものを除きます。)
  • 法人の免許取消し等前1年内にその法人の業務執行役員であった者で、当該取消処分の日から3年を経過していない場合
  • せられ、又は国税通則法等の規定により通告処分を受け、その刑の執行を終わった日等から3年を経過していない場合
  • 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律、風俗営業等適正化法(20歳未満の者に対する酒類の提供に係る部分に限ります。)、暴力団員不当行為防止法、刑法(傷害、暴行、凶器準備集合、脅迫、背任等に限ります。)暴力行為等処罰法により、罰金刑が処せられ、その刑の執行を終わった日等から3年を経過していない場合
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わった日等から3年を経過していない場合
  • 申請者が未成年者でその法定代理人が上記に該当する場合
  • 申請者等が法人の場合で、その役員が上記に該当する場合
  • 製造場の支配人が上記に該当する場合
  • 免許の申請前2年内に、国税又は地方税の滞納処分を受けている場合
  • 破産者手続き開始の決定を受けて復権を得ていない場合
②場所的要件

不適当と認められる場所に製造場を設置する場合(酒類の製造場又は販売場、酒場、料理店等と同一の場所等)・・・つまり酒場や料理店などでの製造は認められません。

③経営基礎要件

国税・地方税の滞納、銀行取引停止処分、繰越損失の資本金超過、酒類の適正な販売管理体制の構築が明らかでない場合などは、経営基礎が薄弱と判断されることがあります。

④需給調整要件

酒類の需給のバランスが崩れる恐れがある場合、免許が認められないことがあります。

⑤技術・設備要件

種類の製造に必要な技術や設備が不十分な場合も、免許取得は難しいです。

申請方法

酒類製造免許の申請は、製造場の所在地を管轄する税務署にて行います。申請から審査まで約2~3か月がかかり、登録免許税は1品目あたり15万円です。

酒類製造免許の手引き(税務署)

酒類製造業の営業許可について(食品衛生法)

酒類製造免許を取得しただけでは、製造を開始することはできません。保健所からの営業許可も必要です。以下はその手続きの流れです。

1. 事前相談

施設基準に適合しているか、施設の工事前に保健所に図面を持参し、相談を行いましょう。食品衛生責任者を置くことも必須です。

2. 営業許可申請

必要書類を保健所に提出します。水質検査結果や食品衛生責任者の資格証明書などが求められます。書類の作成は専門家である行政書士にご依頼するのがお勧めです。当事務所はHACCPも対応していますので、お気軽にご相談ください。

申請書の提出と同時に施設の検査日程を保健所と調整します。

3. 施設の確認検査

保健所の担当者が施設の基準適合状況を確認します。不適事項があれば、改善後に再検査が行われることもあります。

5. 営業許可書の交付

基準に適合した場合、数日後に営業許可書が交付されます。

6. 営業開始

許可が下りると営業を開始できます。営業中も、施設や設備の維持管理と、食品の安全に十分注意しましょう。

飲食店営業許可について詳しくはこちらをご覧ください。

酒類販売業免許について

酒類販売業免許が不要な場合

酒類製造者が製造場内での販売を行う場合

製造免許を受けた製造場内で、その製造した酒類と同じ品目を販売する場合には、酒類販売の免許が不要です。例えば、果実酒の製造場内で注文を受けて引き渡す場合、酒類販売業免許は必要ありません。

飲食店での提供

酒場やレストランなどで、酒類をその場で飲用に供する場合、免許は不要です。例えば、直営のレストランで果実酒を提供し、現地で消費される場合も同様です。

酒類販売業免許が必要な場合

酒類の販売業を行う場合、販売場ごとに、その販売場の所在地を所轄する税務署長から酒類販売業免許を受ける必要があります。例えば、製造場とは別に売店を設けてお土産用の果実酒を販売する際には、その販売場ごとに酒類販売業免許が必要です。この免許を取得するには、一定の要件を満たす必要があり、免許1件につき3万円の登録免許税(一般酒類小売業免許の場合)がかかります。

もし、酒類販売業免許を受けずに酒類の販売を行った場合、酒税法により1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることがあります。

行政書士事務所への依頼:スムーズな許可申請を実現

酒類製造を始めるには、税務署での「酒類製造免許」取得に加え、保健所からの「営業許可」も必要です。

許可要件や申請方法について調べたり、測量してCADで図面を作成したりするのはかなり大変な作業です。申請の準備のために必要以上に時間を割いてしまい、本来やるべき仕事に身が入らなかったり開業準備が遅れてしまっては本末転倒です。書類作成のプロである行政書士にお任せいただければ、全力でサポートいたしますので、本来の事業に集中していただけます。

行政書士に相談しながら、時間・労力・コストの無駄なくスムーズに酒類製造免許・許可の取得を目指しましょう!

当事務所では静岡県を中心にご依頼いただいております。まずはお気軽にご相談ください。