【静岡県行政書士解説】建設業許可が必要な理由とは?

建設業許可が必要な理由について、「そもそもなぜ許可が必要なの?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、建設業許可の法的根拠や取得するメリット、そして許可を取得しなかった場合に生じるリスクについて詳しく解説します。建設業界で事業を拡大するにあたって必須の許可制度を正しく理解し、適切な手続きを進めていきましょう。

1. そもそも建設業許可とは?

建設業法で定められた免許制度

建設業許可とは、建設業法に基づいて国または都道府県から交付される許可のことを指します。一定規模以上の工事を行うには、この許可を取得することが法律上義務づけられています。とくに公共工事を受注する場合、必ず許可が必要になるため、信頼性を確保するための制度として機能しています。

対象となる工事の範囲

  • 建築一式工事
    • 土木工事業
    • 建築工事業
  • 27の専門工事
    • 左官工事業
    • とび・土工工事業
    • 石工事業
    • 屋根工事業
    • 電気工事業
    • 管工事業
    • タイル・れんが・ブロック工事業
    • 鋼構造物工事業
    • 鉄筋工事業
    • 舗装工事業
    • しゅんせつ工事業
    • 板金工事業
    • ガラス工事業
    • 塗装工事業
    • 防水工事業
    • 内装仕上工事業
    • 機械器具設置工事業
    • 熱絶縁工事業
    • 電気通信工事業
    • 造園工事業
    • さく井工事業
    • 建具工事業
    • 水道施設工事業
    • 消防施設工事業
    • 清掃施設工事業
    • 解体工事業

2. 建設業許可が必要となる主な理由

2-1. 法的根拠(建設業法)

建設業法は、建設工事の適正な施工を確保するために制定されました。無許可営業を取り締まりつつ、消費者や発注者を保護することが主な目的です。無許可で営業すると、処罰の対象となる可能性があるため注意が必要です。

2-2. 安全管理と公共性の確保

建設現場では、安全管理が極めて重要です。許可を取得している業者は、一定の技術力や経営基盤を有しているとみなされるため、事故防止や品質保持につながると考えられています。

2-3. 発注者からの信用確保

建設業許可を取得しているか否かは、発注者(元請業者や公共団体)にとって重要な選定基準です。とくに公共工事や大規模な工事では「許可の有無」が受注の可否を大きく左右します。

実際、「元受け業者から建設業許可を取得するように言われた」と、相談に来られる業者様もいらっしゃいます。

3. 建設業許可を取得するメリット

3-1. 事業拡大に有利になる

建設業許可を取得していると、高額な工事や経営事項審査を受けて公共工事なども請け負うことが可能になります。結果として、受注できる案件の幅が広がり、売上アップや事業拡大に直結します。

3-2. 社会的信用度の向上

許可の有無は、顧客や取引先が業者を選ぶ際の信頼バロメーターです。建設業許可を取得している事業者は、許可の要件を満たしていることが証明され、自然と社会的信用が高まります。

3-3. 資金調達や融資にもプラスに働く

銀行融資などの金融機関から資金を調達する際にも、許可の有無は重要な評価指標となります。許可を取得している企業は、財務的にも健全に運営していると判断されやすいからです。

4. 許可を取得しない場合のリスク

4-1. 無許可営業の罰則

建設業法では、許可が必要な工事を無許可で請け負った場合、罰金や業務停止命令が課される可能性があるため、注意が必要です。

4-2. 発注者との信頼関係の崩壊

無許可営業で工事を行っていると、発注者や元請業者からの信頼を失いかねません。トラブルやクレームが発生した際にも、法律上の救済が受けにくく、結果的に事業存続が困難になるケースがあります。建設業界においてもコンプライアンスの観点から発注先が許可業者か否かを重視する傾向にあります。

4-3. 拡大や人材確保が難しくなる

無許可で営業していると、公共工事や500万円以上の案件などには参加できません。また、優秀な人材を採用する際にも、企業としての信用度に疑問を持たれ苦戦する可能性があります。

5. 軽微な工事とは? 許可不要の境界線

5-1. 軽微な工事の定義

  • 工事1件の税込み500万円未満(建築一式工事の場合は1,500万円未満)
  • または延べ面積が木造住宅で150㎡未満の新築工事など、規模の小さい工事

これらを「軽微な工事」として扱う場合には、建設業許可は不要です。しかし、少しでも金額が超過したり別工事を併用したりすることで「軽微な工事」の範囲を超えるケースが多々あります。

5-2. 境界線を超えるときの注意点

軽微な工事の範囲だと思い込んでいたが、実際には合算金額が上回っていた…というケースも。工事の分割発注や工種の追加材料の支給などによって要件を満たさなくなるリスクがあるため、契約時には細心の注意を払いましょう。

6. 建設業許可とコンプライアンスの重要性

6-1. 許可制度を支えるコンプライアンス意識

建設業許可は一度取得すれば終わりではありません。事業継続の中で、毎年の決算変更届5年ごとの更新申請など、多岐にわたる手続きが求められます。こうしたコンプライアンスを守ることで、社会的な信用を得ることができます。

6-2. 労働安全と社会保険

建設業では労働安全衛生法への準拠や、社会保険への適正加入なども求められています。許可取得にあたっては、安全管理体制を整えるとともに、社内規程を見直すよい機会となります。

7. よくある質問(Q&A)

Q1.「個人事業主でも建設業許可は取れるの?」
A. 取得可能です。法人と若干必要書類が異なりますが、個人でも許可要件(経営業務管理責任者や専任技術者など)を満たせば建設業許可を取得できます

Q2.「許可取得にはどのくらいの時間と費用がかかる?」
A. 許可種類(知事許可・大臣許可)や事業形態、提出書類の状況によって異なります。一般的に、申請から約1~2ヶ月ほどで結果が出ますが、書類不備があるとさらに時間がかかります。また、申請手数料+行政書士報酬が必要です。

8. まとめ:安全・信用を守るために

建設業許可を取得することで、法的に認められた工事を行うことができるようになり、事業規模の拡大や社会的信用向上など数多くのメリットがあります。逆に、無許可営業では懲役や罰金などのリスクを伴うだけでなく、将来的な事業発展も制限されてしまうでしょう。

  • 許可が必要かどうか迷ったら、まずは専門家(行政書士)へ相談
  • 法的根拠やメリットを正しく理解し、事業を拡大するチャンスを逃さない

早めに建設業許可を取得しておくことで、信頼性とビジネスチャンスを最大限に活用できるでしょう。ぜひ、建設業許可の取得や更新を検討する際には、当行政書士事務所までお気軽にご相談ください。