化粧品製造業許可の取得ガイド/静岡県

化粧品業界への参入を考えている方にとって、最初のハードルとなるのが「化粧品製造業許可」です。

化粧品の製造は、品質と安全性を確保するために厳しい基準が設けられており、許可を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

この記事では、化粧品製造業許可取得のプロセスを解説し、これから許可を取りたいと考えている方のお役にたてたら嬉しいです。

1. 構造設備の基準

化粧品を製造する施設(製造所)は、一定の構造設備基準に適合していることが求められます。

具体的には、「薬局等構造設備規則」(昭和36年2月1日厚生省令第2号)に基づき、適切な環境と設備が整っている必要があります。

製造所の構造設備の基準

【一般区分】

一般区分というのは、化粧品製造全般(原料の加工、容器への充填、梱包・ラベル貼りまで)を行うための許可区分です。以下の全ての要件を満たす必要があります。

  • 当該製造所の製品を製造するのに必要な設備及び器具を備えていること。
  • 作業所は、次に定めるところに適合するものであること。
  • 換気が適切であり、かつ、清潔であること。
  • 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること。
  • 作業を行うのに支障のない面積を有すること。
  • 防じん、防虫及び防そのための構造又は設備を有すること。
  • 床は、板張り、コンクリート又はこれらに準ずるものであること。
  • 廃水及び廃棄物の処理に要する設備又は器具を備えていること。
  • 製品、原料及び資材を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。
  • 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であつて、支障がないと認められるときは、この限りでない。

【包装・表示・保管区分】

包装・表示・保管区分は、容器に充填した後の化粧品を箱詰めしたり、ラベルを貼付けたり、検品のため倉庫に保管する際に必要な許可区分です(容器への充填はできません)。

  • 製品等及び資材を衛生的かつ安全に保管するために必要な構造及び設備を有すること。
  • 作業を適切に行うのに支障のない面積を有すること。
  • 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該医薬品製造業者等の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であつて、支障ないと認められるときは、この限りでない。

以上のように、製造工程に必要な衛生管理が適切に行われる設備や、原材料や製品の品質を管理するための専用エリアの設置が必要です。

製造所の構造設備が基準に適合していること事前にしっかりと確認しましょう。

2. 申請者の要件

申請者自身も一定の基準を満たしていなければなりません。

欠格要件に該当する場合、許可を取得できない可能性があります。

申請者の欠格要件
  • 申請者(法人の場合は薬事に関する業務に責任を有する役員)は次の欠格要件に該当しないこと(医薬品医療機器法第12条の2第2項、第13条の2の2第5項)
  • 医薬品医療機器法の許可、登録を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった後、3年を経過していない者
  • 医薬品医療機器法等の薬事に関する法令又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から2年を経過していない者
  • 麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
  • 心身の障害により製造販売業者又は製造業者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
  • 製造販売業者又は製造業者の業務を適切に行うことができる知識及び経験を有していない者

3. 責任技術者の設置

化粧品製造業者は、製造所ごとに「責任技術者」を配置する義務があります。責任技術者は、実際の製造プロセスを管理し、品質と安全性を確保する役割を担います(医薬品医療機器等法第17条第5項)。

責任技術者として認められるためには、次のいずれかの条件を満たしている必要があります。

  • 薬剤師資格を有する
  • 薬学や化学に関する専門の課程を修了した者
  • 薬学や化学に関する科目を修得し、医薬品または化粧品の製造に3年以上従事した者
  • 厚生労働大臣が同等以上の知識や経験を有していると認めた者

責任技術者の設置は、化粧品の品質管理において非常に重要な役割を果たします。資格や経験が求められるため、事前に責任技術者候補を確保しておくことが許可取得への近道です。

提出書類

  1. 製造業許可申請書(施行規則様式第12)
    FD申請のホームページより申請ソフトをダウンロードの上、入力し作成。
  2. 登記事項証明書(法人の場合のみ)
  3. 申請者(申請者が法人であるときは、薬事に関する責任を有する役員)の医師の診断書(精神の機能の障害により業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を行うことができないおそれがある者に限る。)
  4. 製造管理者または責任技術者の雇用契約書(写)又は使用関係を証する書類(雇用する場合のみ)
  5. 製造管理者または責任技術者の資格を証する書類
    • 卒業証書、単位取得証明書等
    • 従事経験証明書
  6. 製造所の構造設備に関する書類
    • 製造所の構造設備の概要一覧表
    • 製造設備器具一覧表
    • 試験設備器具一覧表
    • 製造所の平面図
      (使用している場合)立体保管設備の立体図
    • 製造所敷地内の配置図
    • 製造所の周辺地図
  7. 製造しようとする品目の一覧表及び製造工程に関する書類
  8. 申請者が他の区分の製造業の許可又は登録を受けている場合にあっては、当該製造業の許可証又は登録証の写し
  9. 当該製造所の製造工程が把握できるフロー図等

提出書類は多岐にわたり、配置図などの図面の作成もあります。スムーズな申請のためにも、書類作成の専門家である行政書士にご相談ください。

まとめ

化粧品製造業許可の取得には、製造所の設備や申請者の要件、責任技術者の設置など、厳格な条件が課されています。これらをクリアするためには、事前準備と法令に基づいた適切な手続きが必要です。

許可要件や申請方法について調べたり、申請書類作成にに必要以上に時間を割いてしまい、本来やるべき仕事に身が入らなかったり開業準備が遅れてしまっては本末転倒です。

書類作成のプロである行政書士にお任せいただければ、全力でサポートいたしますので、本来の事業に集中していただけます。

行政書士に相談しながら、時間・労力・コストの無駄なくスムーズに化粧品製造業許可の取得を目指しましょう!

当事務所では静岡県を中心に許認可申請業務をご依頼いただいております。まずはお気軽にご相談ください。