一人会社の株主総会は省略できる?議事録作成のポイント/静岡県東部の行政書士が解説

株式会社を設立し、一人で経営を行う「一人会社」は、社長が株主であり、会社のすべてを自分で決定することができます。こうした形態の会社は、意思決定のスピードが速く、シンプルな運営が可能ですが、法律上の義務は他の株式会社と変わりません。

その中でも特に重要なのが「株主総会」の開催です。一人会社の場合、株主総会を開催することが必要なのか、議事録を作成する必要があるのかと疑問に感じる方も多いでしょう。しかし、会社法の規定により、一人会社であっても定時株主総会の開催は義務付けられています。

形式的に思えるかもしれませんが、この株主総会を適切に実施し、議事録を残すことは、会社として法的に適切であるために欠かせません。この記事では、一人会社における株主総会の重要性と、その具体的な手順について詳しく解説します。

一人会社でも株主総会は必要?

法律上、株式会社である以上、一人会社であっても定時株主総会を開催し、議事録を作成する義務があります。定時株主総会は、毎年の決算後に開催されるもので、決算報告を行い、今後の方針などを決定する重要な会議です。

一人会社の場合、株主総会は形式的なものであっても、その開催と議事録の作成は法律で義務付けられています。仮にこの義務を怠ると、法律違反となる可能性があるため、注意が必要です。

定時株主総会と臨時株主総会の違い

定時株主総会は、毎年の決算後に開催される定期的な会議です。一方、臨時株主総会は、必要に応じて随時開催される会議です。どちらも株主総会としての位置づけは変わりませんが、定時株主総会の開催は法律上義務付けられています。

一人会社の株主総会は省略できる?

一人会社の株主総会は、「みなし決議・報告」という制度を利用することで、実際の開催を省略することが可能です。この制度は、書面上で決議や報告が行われたとみなすもので、一人会社では特に有効です。

みなし決議・報告の手順

みなし決議・報告を利用するためには、まず「今後の株主総会はみなし決議・報告とする」と記載した議事録を作成する必要があります。一人会社では、これに自分一人が同意すれば、その時点で正式に決定したことになります。

議事録の作成は必須

みなし決議・報告を利用して株主総会の開催を省略した場合でも、議事録の作成は必須です。議事録は、会社が何を決定したかを証明する重要な書類ですので、必ず作成し、10年間保管する必要があります。

一人会社の株主総会議事録の書き方

一人会社の株主総会議事録には、以下の6つのポイントを含める必要があります。

  • 株主総会の開催日付と場所
  • 議事の経過の要領および結果
  • 重大な事柄に関する意見もしくは発言の概要
  • 出席した役員名
  • 議長の氏名
  • 議事録を作成した作成者の氏名

まとめ

一人会社では、株主総会を実際に開催することは省略できますが、議事録の作成と保管は義務です。法的要件を満たすためには、適切な手順に従って、正確に議事録を作成することが重要です。みなし決議・報告を活用することで、効率的に業務を進めることが可能ですので、ぜひ参考にしてください。