コロナ渦の高齢者の孤独について①リスク編

新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちの生活は大きく変わりました。感染を防ぐために人との接触を避けることが求められ、外出を自粛する生活が長引き、現在もそれは続いています。そんな中、孤独に悩む高齢者は増えています。高齢者の孤独にはどのようなリスクがあるのでしょうか?また、高齢者が孤独を感じないよう、どのような対策をとるべきなのでしょうか?さらに会話型高齢者みまもりサービスによる高齢者の孤独に対する予防的介入の可能性についてお話していきます。

孤独が健康に与える影響

望まない孤独は1日にたばこを15本吸うのと同じくらい健康に悪影響を与えるとの研究があります。アメリカ・ブリガムヤング大学のホルトランスタッド教授の研究で、「社会的つながりを持つ人は、持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する」とする結果を発表しました。孤独な人は要介護の状態やうつ病になりやすいとの研究もあります。

研究によって裏付けられた孤独が健康に与える影響ですが、これらの研究によらずとも、孤独感というのは心身の健康に大きく影響するであろうことは、誰もが想像できることではないかと思います。

また、日本では2020年度の自殺者が11年ぶりに増加し、CNNなど海外メディアは「日本ではひと月の自殺者がコロナで1年で亡くなった人数を上回った」と報道…。こうした「精神的な孤独・孤立」は、先の見えない不安感が続く限り、ますます深刻になっていくと考えられ、現代社会が目をそらしてはならない課題であるとも言えます。

高齢者の孤独のリスク

コロナ以前は社交ダンスやカラオケ教室など、活発に活動していたのに、コロナを機に外へ出る機会が減り、気持ちまですっかり老け込んでしまったような気持ちになってしまった…という話もよく聞きます。

外へ出る機会が減れば、筋力の低下につながりますし、実際に体の衰えは進行しやすいと考えられます。さらに、人と会う機会が減り、身なりを整えること、基本的な生活リズムを整えることさえ億劫に感じてしまう人もいるようです。

そうなってしまうと、まさに負のスパイラル。気力の低下から活動量が減り、さらに気分が落ち込んでいってしまい…というように、加速してしまいます。このような負のスパイラルに陥ってしまうと、「以前は社交ダンスにカラオケにと活動的だった人が、1年ぶりに会ったら別人のように老け込んでしまっていた。」ということが起こりえるのです。

そのような状態が長く続くと、次にあげるようなリスクが考えられます。

セルフネグレクト

セルフネグレクト(自己放任)とは、在宅で「高齢者が、通常一人の人として生活において当然行うべき行為を行わない、 あるいは行う能力がないことから、自己の心身の安全や健康が脅かされる状態に陥ること(津村智恵子「セルフネグレクト防止活動に求める法的根拠と制度的支援」〈高齢者虐待防止研究、2009〉)とします。これは、認知症などのような疾患か ら適切な判断力が欠けている、または、様々な事情で生活意欲が低下しているために自己放任のような状態になっている場合(無意図的)と、判断力や認知力が低下していないが、本人の自由意志によって自己放任のような状況になっている場合(意図的)を含みます。

一人暮らしの高齢者の場合、生活能力や意欲が低下することで、今までできていたことが同じようにはできなくなってしまい、その変化によるイライラからセルフネグレクト自己放任に陥る方も多く、地域から孤立する高齢者も急増しているのです。

「セルフ・ネグレクト状態にある高齢者の生活実態および社会福祉士のソーシャルワーク実践スキルに関する研究」(2018,一瀬)ではセルフネグレクト状態の高齢者の生活実態について以下のように結論付けています。

セルフ・ネグレクト状態にある高齢者は,単独世帯の男性であるケースが約 8 割と多く,介護保険未申請であるケースが約 4 割を占めることが明らかとなった.また,約 8 割の高齢者が,自分がセルフ・ネグレクト状態にあるという自覚を持っていないこと,身体的な生活自立度は比較的保たれているものの,認知症状は中等度が疑われるケースが 4 割いることが分かった

The Journal of Kansai University of Social Welfare
Vol.21, 2018.3 pp.51 - 59

一人暮らしの高齢者(特に男性)がセルフネグレクトになりやすく、セルフネグレクト状態になってしまうと、自分がそうと気づかないうちに心身の健康状態が悪化してしまったり、介護保険などを利用してサービスを受けられる状態であるのに未申請であったり、拒否してしまったりするケースもあるのです。

うつ病や認知症

「高齢者のうつ」は、仕事上のストレスに起因するというよりは、自身の退職や子供の独立、家族や親戚、友人に会える機会が少ないなどといった「環境的要因」と、配偶者との死別、老化に伴う精神的・肉体的な衰えなどに代表される「心理的要因」の2つが主な原因となり発症することが多いといわれます。

「認知症」は、さまざまな病気により脳の働きが低下して起こる一連の症状をさす言葉です。脳の働きの低下により、記憶障害、認知能力の低下、判断力の低下、見当識障害(時間、場所、人がわからない)、実行機能障害(慣れているはずのことが段取り良くできない)などの症状があげられます。

うつ病や認知症の原因としては様々なことが複合的に関わっていると考えられますが、孤独であることにより、心身の活動量が減り、コミュニケーションをとる機会も少なくなるということは、うつ病や認知症の要因の一つになりえると考えられます。

詐欺などの被害

高齢者を狙った詐欺などの被害は深刻です。内閣府の発表によると、振り込め詐欺などの被害者の約8割が65歳以上となっています。

平成29(2017)年中の振り込め詐欺の被害者を見ると、60歳以上の割合は77.9%、特に高齢者が被害者である割合が高いのは、オレオレ詐欺及び還付金等詐欺であった。オレオレ詐欺については、60歳以上の割合は98.0%となっており、特に70歳以上の女性はオレオレ詐欺被害者の77.6%を占めている。また、還付金等詐欺の被害者についても、60歳以上の割合は98.0%となっており、特に70歳以上の女性は50.8%を占めている。

平成30年度版高齢社会白書(内閣府)

振り込め詐欺などの他にも、孤独な高齢者を狙って優しい顔をして近づいてくる悪徳訪問販売にも気を付けなければなりません。周りになんでも相談できるような友人がいなく、家族とも疎遠になてしまっていたりすると、このような悪徳業者からの半ば脅されるような形で欲しくもないものを売りつけられてしまう、といったケースもあります。

筆者の祖母も一人暮らしをしているのですが、実際に悪徳さおだけや業者にひっかかり、「2本で1000円」というのでお願いしたら、実際には4万円を請求され、「もう切ってしまったんだから、さっさと払え」と脅されるという事案がありました。その時は幸い隣に住んでいる、割とこわもての父親が在宅で、騒ぎを聞きつけ口論の末「警察を呼ぶ」と言ったら、あきらめて帰ったそうです。しかし、高齢者一人では怖くて支払うより他なかったと思います。

孤独死

内閣府の高齢社会白書によれば、一人暮らしの60歳以上の者の4割超が孤立死(孤独死)を身近な問題と感じていると答えています。

孤独死(誰にも看取られることなく亡くなったあとに発見される死)を身近な問題だと感じる(「とても感じる」と「まあ感じる」の合計)人の割合は、60歳以上の者全体では17.3%だが、一人暮らし世帯では45.4%と4割を超えている

平成30年度版高齢社会白書(内閣府)
内閣府30年度版高齢社会白書

高齢者の孤独死は年々増加しており、内閣府発表のこちらのグラフを見ると、15年前の2倍になっているのが分ります。

自宅でたった一人で死を迎える孤独死。コロナ渦でますます危機的な状況に陥っていおり、民生委員などの地域の見守り活動が困難になり、高齢者が長期間にわたって、家の中で亡くなっても遺体が発見されないという事例が相次いでいるという現状のようです。

未然に対策を…

これらのことは、高齢者だけに起こることではなく、誰にでも起こりうることではあります。しかしながら、高齢者の場合は他の世代と比べてこれらのリスクに陥ってしまいやすく、状態も早く悪化しやすいと考えられるため、こうなってしまう前に予防的対策を講じることが大切です。

会話型みまもりサービス「つむぐシニアプラン」

高齢者の孤独について考えた時に、心配になるのがひとり暮らしの親です。一人暮らしの高齢者のなかには、1日中部屋にこもって誰とも話さないような人が珍しくありません。親がこの状態にあるのなら、家族はなんとかしてサポートしたいと思うのではないでしょうか?

こころに寄り添う”会話型”みまもりサービス

  • 仕事や子育てが忙しく、なかなか親の面倒がみられない
  • 一人暮らしの親が孤独になっていないか心配
  • ゆっくり話を聞いてあげらる余裕がない
  • 悪徳訪問販売や詐欺の被害にあっていないだろうか?
  • 本当はもっと会いに行ってあげたいけれど忙しくて行けない
  • 役所手続きがちゃんとできているか心配

こんな悩みをお抱えでしたら、高齢者見守りサービス【つむぐシニアプラン】をご利用ください。

出掛ける機会が少なくなって人とお話する機会が減ってしまったというご高齢のお客様もいらっしゃるかと思います。人と会話をすることは脳の活性にもつながり、認知症やうつ病の防止につながります。また、お話をするだけで元気が出てくるものです。離れて暮らすご両親に生活のみまもりと、何気ないおしゃべりができることの幸せを提供いたします。

つむぐシニアプランとは

【つむぐシニアプラン】では専属のコミュニケーターが週1回、高齢のお客様と電話でお話をすることにより、体調の変化に早く気づけたり、悪徳訪問販売や詐欺等の被害の予防・早期発見をすることにつながります。

【つむぐシニアプラン】では、10分間の【つむぐ電話】の中で、まず初めに体調や生活状況の確認をします。そこで異変を察知したら直ぐにご家族や病院等、適切な機関におつなぎします。特に問題がないことを確認しましたら、その後は、お客様の興味のある話題を探りながら、お客様のお話に寄り添います。それは、何気ないおしゃべりこそが高齢者のこころを健康に保つのにとても重要だと考えるからです。だからこそ、【つむぐ電話】のコミュニケーターは何気ないように見えるおしゃべりにも全力を注ぎます。

【つむぐシニアプラン】には必要に応じてさまざまなオプションをつけることができます。

  • 不在時電話のかけなおし
  • 緊急時かけつけ(スポット訪問)
  • 認定心理士/行政書士による訪問相談
  • 認定心理士/行政書士によるオンライン相談
  • 行政手続き代行
  • クーリングオフ手続き代行
  • 終活サポート
  • 遺言書作成サポート
  • お片付けサポート

高齢者を孤独にさせない!いつまでも笑顔でいて欲しい!

宅配型や監視型のサービスでは、安否確認はできても、発見したときには既に深刻な状態になっていたり、監視されているような違和感に抵抗を感じたりする場合もあります。

さまざまな見守りサービスがある中で、【つむぐシニアプラン】の【つむぐ電話】は特にお客様との会話を重視しています。毎週決まった時間に専属のコミュニケーターからの電話がかかってくる。その10分間の電話では、どのようなことをお話していただいてもコミュニケーターは全力で耳を傾けます。10分では短いように感じる方もいるかもしれません。しかし、そこが【つむぐシニアプラン】のミソでもあるのです。あっという間の10分。だけど、また次の【つむぐ電話】の時間を心待ちにしてもらいたい…

【つむぐシニアプラン】では、お申込み頂いた皆様に、単なる安否確認だけでなく、孤独にさせない!笑顔を守る!をモットーにサービスを提供させていただきます。私たちはお客様である高齢者の皆様に、わくわくを取り戻していただけることを願っています。

行政書士事務所ならではの安心感

高齢者を狙って優しい言葉で近づいてくる詐欺が増えている中、他人にあれやこれや話してしまうことは危険なご時世でもあります。心を許せると思っていた友人にさえ騙されてしまった…なんていう話も決して珍しくはありません。悲しいことですが高齢で孤独になってしまった高齢者には、なんでも話せる友人を持つことさえ難しい世の中になっているのかもしれません。

国家資格である行政書士には、業務をご依頼いただいたお客様の秘密を守るため厳格な“守秘義務”が課されております。それは【つむぐシニアプラン】のサービスにおいても同様です。【つむぐ電話】でお話しされた内容が外に漏れることはございませんので安心してお話頂けます。

また、当所行政書士は日本心理学会認定心理士でもあります。心理臨床の世界では、カウンセリングにおいて、「時間・場所・料金」という「枠組み」を大切にしています。その守られた「枠組み」の中では、どんなことでも安心して話せるということ、カウンセラーが傾聴し寄り添うことにより、クライアントは変容し、こころの健康を取り戻していくことができるのです。

【つむぐシニアプラン】は、心理カウンセリングにおける「枠組み=時間・場所(電話)・料金」という発想を取り入れることで、高齢者のこころの健康を守るという、予防的役割を目指しています。